山口大学大学院医学系研究科病態制御内科学(第三内科)

太田 康晴

山口大学大学院医学系研究科教授

 

太田 康晴Yasuharu Ohta

 令和5年6月1日付で第6代目の山口大学大学院医学系研究科病態制御内科学講座教授ならびに附属病院第三内科長に就任いたしました太田康晴と申します。
 当講座は令和5年6月に56周年を迎えました。臨床病理学講座が母体となっており、発足当時は血液疾患が主な診療分野であり、1983年に西日本で初めての同種造血幹細胞移植(一般的にいう骨髄移植)を成功させた医療機関です。現在でも県内で同種移植を行なっている唯一の医療機関となっています。第3代の故兼子俊男教授が糖尿病を専門分野とされていましたので、兼子教授就任以降は、血液疾患に加えて糖尿病・内分泌代謝疾患も当講座の主要な診療領域となりました。どちらの領域でも全身を丹念に診ていく必要があります。現在の医療の流れとして、専門分野がますます細分化していくと同時に、その一方で全身状態をしっかりと診ることができる医師も必要とされてきています。当講座はまさにそのような医師の育成に貢献していける存在として重要な立ち位置にいると考えています。また当講座では、開講当初から基礎的研究が精力的に継続されており、その経験やそこから見出された知見を診療に活かすという伝統があります。研究的な視野を持った臨床医を意味する” Physician Scientist”という言葉がありますが、当講座はまさにその言葉にふさわしい素晴らしいドクターを数多く輩出してきました。現在、山口大学学長の谷澤幸生先生もそのお一人です。谷澤先生は、糖尿病を主徴の一つとする難病であるWolfram症候群の原因遺伝子を同定されました。現在、当講座では環境因子と糖尿病との関連性を見出すべく、体内時計と糖尿病の関係性に関する研究を主なプロジェクトの一つとして進めています。血液学の分野では、分子標的薬が次々に開発され、CAR-T療法など最新の免疫療法も実臨床に既に導入されています。そのような観点から、当講座の診療では分子生物学的な知識や経験が不可欠になってきています。若い先生には、たとえ短い期間であっても基礎研究に没頭してもらい、将来、その経験を活かしてほしいと思っています。
 最後になりますが、現状に甘んじず、伝統を継承しながらも「チャレンジし続ける講座」を目指し、講座の運営に取り組んでいきます。皆様のご支援、ご協力何卒よろしくお願い申し上げます。
                                           太田康晴